軍用地の倍率は下がる?いつと比べてどれくらい・金利との関係

軍用地の倍率は下がる?

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「軍用地の倍率が下がっている」と聞くと、持っている土地をどうするか、いま買ってよいのかが気になります。

いつと比べてどれくらい下がったのかは、同じ業者の年ごとの値付け、専門家への調査、金利と地料の動きを、時点をそろえて並べると分かります。

目次

軍用地の倍率は、本当に下がっている?

業者の値付けで見ると、下がっています。同じ業者が売り出した年ごとに表示倍率を並べると、嘉手納飛行場も航空自衛隊那覇基地も、2022年を境に低くなっています。

ある業者が成約と表示した物件の倍率を、売り出した年ごとに並べた図。嘉手納飛行場 2020年 60倍、2021年 60倍、2022年 60〜61倍、2023年 55〜57倍、2024年 55〜56倍、2025年 53〜54倍、2026年 50〜51倍/航空自衛隊那覇基地 2022年 60〜61倍、2024年 56倍、2025年 53〜55倍、2026年 49倍/那覇空港用地 2021年 65倍、2022年 68倍、2025年 56〜57倍(2026-10-20観測)
売り出した年ごとの表示倍率(1社の値付け)。出典:業者の公開物件から集計(開南コーポレーションの成約表示・2026年10月20日時点)。確認日 2026-10-20。

同じ業者の値付けは、年ごとにどう動いた?

開南コーポレーションのサイトで「成約」と表示されている物件を、売り出した年ごとに分けました。倍率は業者が物件に表示した値です。

売り出した年 嘉手納飛行場 航空自衛隊那覇基地 那覇空港用地(業者の表示名) トリイ通信施設
2020年 60倍(1件) — — —
2021年 60倍(13件) — 65倍(21件) —
2022年 60〜61倍(57件) 60〜61倍(11件) 68倍(29件) 50倍(6件)
2023年 55〜57倍(34件) — — 50倍(30件)
2024年 55〜56倍(42件) 56倍(20件) — 52倍(1件)
2025年 53〜54倍(13件) 53〜55倍(2件) 56〜57倍(7件) 47倍(2件)
2026年 50〜51倍(12件) 49倍(7件) — —

出典:開南コーポレーションの成約物件の一覧から集計(2026年10月20日時点)。確認日 2026-10-20。年は物件を載せた月の年、件数は区画の数です。

1社の値付けなので、市場全体の成約倍率ではありません。1つの土地を分けて売ると区画ごとに数えるため、件数は取引の数とも一致しません。それでも、同じ物差しで年をまたいで比べられる数少ない数字です。

2023〜24年の倍率表と比べると、どうなる?

当時ネットに出ていた業者の倍率表と、いま売りに出ている物件の表示倍率を、同じ基地で並べました。

基地・施設 2023年6月の表 2024年2月の表 2026年10月20日の売出し中
嘉手納飛行場 55〜58倍 51〜57倍 36.9〜56倍(91件)
航空自衛隊那覇基地 56〜60倍 — 39〜50倍(25件)
那覇空港(業者の表示名) 60〜65倍 — 40〜63倍(12件)
キャンプ瑞慶覧 46〜51倍 45〜49倍 37.2〜49倍(17件)
キャンプ・ハンセン 46〜50倍 45〜49倍 36.6〜48倍(18件)

出典:2023年6月=業者のページ(gunyouchi-uriba.com)、2024年2月=事業者の記事(pocket-funding.jp)(当社調べ・「±」つき)、2026年10月20日=業者の公開物件から集計(売出し価格・業者が表示している倍率・かっこ内は件数)。確認日 2026-10-20。

どの基地も、いまの売出し中の下限が当時の表の下限を下回っています。昔の表は件数も成約か売出しかも書かれていないので、向きを見る程度の比較です。

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不動産の専門家は、軍用地の値動きをどう見ている?

公益社団法人沖縄県不動産鑑定士協会は、業者や鑑定士にたずねた実感を「不動産市場DI」という調査で公表しています。取引の件数や価格そのものではなく、マイナスは「下がった」とみる回答が多いことを表します。

2026年5月1日時点の第24回では、軍用地の数字は次のとおりでした。

  • 軍用地の地価DI:−39.7P(前回−56.2P)。13期連続のマイナスで、半年後の予測は−22.0P
  • 軍用地の取扱件数DI:−33.8P(前回−44.8P)。14期連続のマイナスで、予測は−5.9P

出典:公益社団法人沖縄県不動産鑑定士協会「不動産市場DI」第24回(有効回答301・回答率19.9%)。第22回・第23回の数値は協会が訂正しています。確認日 2026-10-20。

マイナスの幅は前回より小さくなりました。ただ、前回の調査で出ていた予測は−35.9Pで、実際の値はそれより低くなっています。予測は予測として見ておくのがよさそうです。

金利が上がると、倍率にどう響く?

ここ半年ほどで、軍用地のまわりの金利は上がっています。業者についての数字や説明は、2026年10月18日時点で業者のサイトに掲載されていた表示です。

  • 日本銀行の政策金利(無担保コールレート・オーバーナイト物):2026年6月16日に0.75%程度から1.0%程度へ。9月18日の決定で1.25%程度(9月24日から)
  • 土地連の共済の貸付金利:2026年4月1日〜9月30日の融資は2.90%、10月からの融資は3.25%
  • 10年国債の金利:2.935%(2026年10月19日)

出典:日本銀行 2026年6月16日・2026年9月18日の公表文、地主会の案内(ocmla.okinawa)・土地連の共済の案内、財務省 国債金利情報。確認日 2026-10-20。

倍率が50倍なら、表面利回りは2.0%です。ローンで買う人から見ると、借りる金利が利回りを上回れば、地料だけでは利息をまかなえません。

同じDI調査では、業者や鑑定士が挙げた話題のうち、金利に関するものの割合が、回を追うごとに4.1%、8.0%、11.7%と増えています。金利が倍率をどれだけ動かしたかを示す数字はありませんが、回答の中で金利の話題が増えています。

地料は毎年上がっているのに、なぜ倍率は下がる?

沖縄全体の軍用地の賃貸料の予算は、毎年少しずつ増えています。

年度 賃貸料の予算 増減
2021年度 — 前年度比1.0%増で妥結
2022年度 約1,040億円 前年度比1.0%増
2023年度 約1,049億円 前年度比1.1%増
2024年度 約1,062億円 前年度比1.1%増
2025年度 約1,073億円 前年度比1.11%増
2026年度 約1,085億円 前年度比1.12%増

出典:土地連の各年度の資料(2021・2022・2023・2024・2025・2026年度)。確認日 2026-10-20。

この伸びは、返還や買収で減った分も含めた全体の増減で、一つひとつの土地の改定率ではありません。個々の土地の改定率は公表されていません。

価格は「年間地料×倍率」です。地料が毎年わずかに増えても、倍率がそれより大きく下がれば、価格は下がります。地料が上がっていることと倍率が下がっていることは、同時に起こり得ます。

どの基地も同じように下がっている?

同じようには動いていません。上の業者の年ごとの値付けでも、トリイ通信施設は2023年まで50倍のままで、2024年は52倍(1件)でした。嘉手納飛行場や航空自衛隊那覇基地とは動きが違います。業者についての数字や説明は、2026年10月20日時点で業者のサイトに掲載されていた表示です。

いま売りに出ている物件の倍率(価格÷年間地料)も、基地で幅が違います。

  • 嘉手納飛行場:36.9〜56倍(78件)
  • 航空自衛隊那覇基地:39〜50.2倍(19件)
  • キャンプ瑞慶覧:37.3〜49.9倍(16件)
  • キャンプ・ハンセン:36.6〜48倍(17件)
  • 牧港補給地区:48.5〜57倍(7件)
  • トリイ通信施設:44〜51倍(4件)

出典:業者の公開物件から集計(2026年10月20日時点・売出し価格・売出し中の物件のうち倍率を出せた件数)。確認日 2026-10-20。

牧港補給地区やトリイ通信施設は件数が少なく、数件の値付けで幅が決まります。基地ごとの全体は基地別の倍率のページで、件数と並べて確かめられます。

返還の予定は、倍率と関係がある?

返還の予定がある基地は、売りに出ている数が少なく、倍率を比べられるだけの数字がありません。県の統計資料集では、日米の統合計画の返還時期が次のように書かれています。

  • 普天間飛行場:「2022年度又はその後」、未返還476ha
  • 牧港補給地区(残りの部分):「2024年度又はその後」、142ha
  • キャンプ桑江:「2025年度又はその後」、68ha
  • 那覇港湾施設:「2028年度又はその後」、56ha

出典:沖縄県 沖縄の米軍及び自衛隊基地(統計資料集)令和8年4月。確認日 2026-10-20。

普天間飛行場の跡地では、県と宜野湾市が土地を買い取っています。令和8年度の単価は、宅地81,900円/㎡(39.72倍)、宅地見込地72,200円/㎡(39.74倍)です。倍率は、令和7年度の軍用地料をもとにした参考値です。売った理由の1位は、5,000万円の控除でした(68人)。

売るか持ち続けるか、何を見て決めればいい?

先行きを言い当てる数字はありません。そのうえで、決める前に手元でそろえておける材料はあります。

  1. 自分の基地の、いまの売出し倍率の幅と件数(基地別の倍率)
  2. 自分の土地の年間地料と、売った場合の値段の見当(査定)
  3. ローンで買う・買い替えるなら、借りる金利と表面利回りの差
  4. 普天間飛行場の土地なら、県・市の買取単価と控除の条件
  5. 相続を控えているなら、評価額の出し方(軍用地の倍率とは)

倍率は売り手と買い手の値付けで決まるので、同じ基地でも物件で幅があります。手元の土地の値段は、査定で確かめられます。

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高く買った人・借りて買った人は、何を確かめる?

2026年10月20日時点で業者のサイトに成約と表示されていた物件の値付けでは、嘉手納飛行場の表示倍率は2022年に60〜61倍(57件)、2026年は50〜51倍(12件)でした。倍率が高かった時期に買った土地は、いま売りに出すと、買った価格を下回る値付けになることがあります。

土地を売ったときの税金は、売った金額から取得費と譲渡費用を引いた譲渡所得にかかります。持ち続けている間は、売買の損益は確定しません。

借りて買った人が確かめられる借入の条件は、各金融機関と土地連のページに次のように書かれています。

  • 金利の種類:沖縄銀行の軍用地ローンは、短期プライムレートを基準とした所定の変動金利です。土地連共済の金利は年2回見直され、2026年4月1日〜9月30日の融資は2.90%、10月からの融資は3.25%でした
  • 条件の変更:土地連共済は「融資の借換」「返済期間の延長」ができるようになったと案内しています。沖縄銀行は、条件変更の内容によって条件変更手数料5,500円(税込)がかかる場合があるとしています
  • 基準の金利のいまの値:日本銀行の公表では、短期プライムレート(最頻値)2.375%(2026年8月3日から)、長期プライムレート3.25%(2026年8月12日から)です(2026年10月8日現在)

出典:沖縄銀行 軍用地ローン、土地連 わした土地連共済、沖縄市軍用地等地主会の案内、日本銀行「長・短期プライムレート(主要行)の推移」、国税庁「譲渡所得の計算のしかた(分離課税)」。確認日 2026-10-21・2026-10-23。

借入の種類と条件は軍用地ローンの種類と金利、売る場合の売却先の違いは軍用地の売却先にあります。

倍率が底を打ったかは、何で分かる?

底を打ったかを示す公的な数字はありません。そのうえで、時点をそろえて追える数字はあります。

  • 不動産市場DI(公益社団法人沖縄県不動産鑑定士協会):第24回(2026年5月1日時点)の軍用地の地価DIは−39.7P、半年後の予測は−22.0P。前回の予測は−35.9Pで、実際の値はそれより低くなりました
  • 売出し中の倍率:基地別の倍率で、基地ごとの幅と件数を時点つきで見られます
  • 金利:土地連共済の金利は年2回見直されます
  • 地料:沖縄全体の賃貸料の予算の増減は、土地連の事業報告書で毎年公表されています

どの数字も、先行きを言い当てるものではありません。同じ数字を時点を変えて並べると、向きの変化が見えてきます。

よくある質問

Q. 倍率は、また上がりますか?

分かりません。DI調査の半年後の予測は、地価DIで−22.0Pです。ただし前回は、予測より実際の値のほうが低くなりました。

Q. 地料が下がることはありますか?

全体の予算は、2021年度から毎年増えています。個々の土地の改定率は公表されていないので、自分の土地の地料は、受け取った額の記録で年ごとに比べられます。

Q. 成約の倍率は、どこかで公表されていますか?

公的な集計はありません。土地連も、売買の情報は「把握しておりません」としています。

Q. 2026年に売り出された物件は、何倍でしたか?

先の業者の成約表示では、嘉手納飛行場が50〜51倍(12件)、航空自衛隊那覇基地が49倍(7件)でした。1社の値付けで、市場全体の数字ではありません。

税額や、売るか持ち続けるかの答えは、土地の条件や家族の事情で変わります。ここで説明したのは一般的な制度と計算の仕方なので、決める前に、税理士・弁護士などの専門家や取引する業者に、自分の場合を確かめてください。

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